デジタル一眼レフが随分と手ごろな値段になってきて、高級な(あるいは多機能な)コンパクトデジカメと、デジタル一眼レフの価格が変わらなくなってきました。その影響なのか、オークションに出品したいのだけど、デジタル一眼レフが必要ですか?とか、ホームページに掲載する商品の撮影をしたいのだけど、デジタル一眼レフが必要かですか?と、聞かれることが多いようです。
結論から言うと、オークションやホームページに掲載する商品撮影ぐらいであれば、デジタル一眼レフがなくても、コンパクトタイプのデジタルカメラで十分に使えます。
下の写真は私が所有している320万画素(左)と400万画素(右)のデジタルカメラですが、まだまだ現役でオークションやブログ用の撮影で使用しています。

まだまだ現役で使用している理由は、十分に使える画素サイズであるだけでなく、コンパクトデジカメ特有の被写界深度の深い写真が撮れるからです。
被写界深度が深いとは、簡単に言うと、写真のピントがあっている前後の範囲が広いことです。詳しくは
wikiの被写界深度の説明をご覧ください。
この被写界深度が深い写真は、オークションなどの写真には必要不可欠です。それは、できるだけ出品物の状態を分かりやすく伝えるために、被写体の手前から奥までピントが合った写真にする必要があるからです。そして被写界深度が深い写真は、デジタル一眼レフよりも、CCD(撮像素子)のサイズが小さいコンパクトデジカメのほうが有利です。
と言葉で書いてもよく分からないので、例を示しましょう。
全長15cmほどの車の模型を画面いっぱいになるまで近づいて撮影してみました。
まずは320万画のコンパクトデジカメ(PowerShotS1IS)で撮影した写真です。

写真をクリックすると拡大します。なおオリジナルサイズは2048×1536ピクセルですが、大きすぎるので、Photoshopで幅を1024ピクセルにリサイズだけしています。
次に、1220万画素のソニーα700で撮影してみます。

こちらも写真をクリックすると拡大します。なおオリジナルサイズは4272×2848ピクセルですが、こちらも大きすぎるので、Photoshopで幅を1024ピクセルにリサイズだけしています。
絞りはどちらもf8.0に揃えています。(PowerShotS1ISでは、f8.0以上に絞れないため)
なお、2つの写真は、できるだけ同じ画角になるように三脚を使用して、被写体との距離を変えずに(三脚を動かさずカメラだけ交換して)、画面いっぱいになるように撮影しました。
二つの写真を拡大して比較するとよく分かると思いますが、デジタル一眼レフのα700で撮影したほうが、模型の後輪のボケが大きく、コンパクトデジカメで撮影したほうが後輪のボケは少ないです。
このように、オークションやWEBに掲載する写真など、大きさをあまり必要としない写真を撮影する際には、コンパクトデジカメのほうが被写界深度の面で使いやすいこともあるのです。
では、デジタル一眼レフでは、WEB用の写真は撮影できないかというと、もちろんこんなこはありません。被写界深度を深くするためには、大きく絞る(f値を大きくする)ほかに、高解像度を生かして、少し離れて撮影してから中央付近をトリミングすれば、見かけ上の被写界深度は大きくできます。
たとえば、α700で下の写真のように少し被写体から撮影してみます。撮影する際は、写真に写された車の大きさ(ピクセル数)ができるだけ320万画のPowerShotS1ISと同じになるように調節しました。(厳密じゃないけど)

もちろん、このまま掲載すると周りの余計な部分が多すぎますし、全体をWEBに掲載できるように縮小すれば、被写体の車の模型は小さくなりすぎます。そこで、中央の部分をPhowerShotS1ISとほぼ同じになる2048ピクセルでトリミング(切り抜き)した後で、更に幅を1024ピクセルに縮小しました。

拡大して、最初の320万画素のPowerShotS1ISの写真と比較してみてください。模型の後輪辺りのボケ方が、かなり似ていると思います。
絞りを大きくすると、被写界深度は深くなりますが、そのかわりシャッター速度は絞れば絞るほど遅くなります。シャッター速度が遅くなりすぎて使いにくい場合には、このように少し離れて撮影して、トリミングすると見かけ上の被写界深度は大きくできますので、一度試してはいかがでしょうか?